監督
大工原章
藪下泰司
出演
桜町弘子
中村賀津雄
薄田研二 |
少年猿飛佐助は山の動物たちを友とし、信濃の山奥深くで姉のおゆう(声;桜町弘子さん)と二人だけで住んでいたが、ある日小鹿のエリが大鷲にさらわれてしまう。佐助は、山の動物たちと大鷲も追いかけるが、巨大な山椒魚が住む不気味な沼にエリは大鷲によって投げ込まれてしまう。それを見た母鹿はエリを助けるために沼に飛び込み、佐助もまた鹿達を助けるため沼に飛び込むが、母鹿は山椒魚の餌食となり、佐助も山椒魚のために倒されてしまう。
この山椒魚は夜叉姫という妖術使いで、昔悪事を働いていたとき、時の上人の法力で山椒魚に姿を変えられたものであった。佐助は、この夜叉姫を倒し山里の動物たちが平和に暮らせるようにするために忍術を学ぶことを決意し、戸隠山に住む甲賀流忍術の達人戸沢白雲斉のところに弟子入りし、厳しい修行を行うのである。そのような中、夜叉姫は再び手下の山賊を使って真田幸村(中村賀津雄)
の住む上田を荒らし始めていたため、佐助は山を降りるのだった。佐助は幸村とともに山賊を退治し、夜叉姫の妖術に対して忍術を使っての壮絶な戦いが始まるが、佐助はついに夜叉姫を打ち倒す。こうして、山里に再び平和が戻ってくるのである。
この少年猿飛佐助は今から約50年も前に作られた作品であるが、今見てもその完成度の高さに驚かされてしまうであろう。作成に当たっては多くの困難があったようであるがそれを克服して、日本で初めて制作されたシネマスコープ版長編アニメーション映画である。海外でも高い評価を獲得し、ベニス国際映画祭児童映画部門(1960年度)で聖マルコ獅子賞(グランプリ)を獲得した名作である。
絵は隅々まで配慮され美しく、各登場人物の表情はアニメであることを忘れさせるものである。また声を担当しているのが、当時の東映で活躍した俳優であり、素晴らしい声の演技を聞かしてくれる。佐助の姉おゆうは東映城のお姫さまの一人桜町弘子さんであり、いかにも気品あるおゆうである。そして戸沢白雲際は、あの宮本武蔵第三部二刀流開眼で、見事な柳生石秀斎を演じてくれた薄田研二であり、まさに甲賀流忍術の達人の雰囲気を醸しだしている。また船村徹による音楽も、星野哲郎による詩もすばらしい。
ところでこのような優れた多くの作品が上映されてから10〜20年も経てば、新しい観客層は生まれているはずであり、何故リバイバル上映されないのだろうかと不思議に思っている。内容において格段に優れている作品が、新たな投資をしなくても上映できることを考えたらビジネスとしても成り立つのではないだろうか。
それよりもなにより、この時代の名作達は、観客に対する圧倒的な感動を与えてくれるのではないか。特にこの少年猿飛佐助は、感性豊かな少年達に、今の映画が与えることができない友情、正義、勇気、努力、忍耐、といったものの大切さを与えてくれるように思われるのであり、そのためにもリバイバル上映が期待されるのである。ネット上には、この映画の予告編がアップされていて、以下で見ることもできるので、興味があればぜひご覧ください。
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