宇宙大戦争 東宝(昭和34年:1959)
監督
 本多猪四郎

特撮
 円谷英二

出演
 池部良
 安西郷子
 千田是也
 1957年10月4日に旧ソ連がスプートニク1号打ち上げ、翌年の1958年1月31日にはアメリカもエクスプローラ1 号打ち上げるなど、この映画『宇宙大戦争』が製作された頃、人類は宇宙への夢をかき立てられていたのである。

 映画のおおよそのストーリーは以下のようなものである。

 1965年、日本の宇宙ステーションJSS3(JapanSatellite Station の略?)が何の前触れもなく、謎の円盤群に襲撃されて破壊され、そしてさらに、世界中で鉄橋や船舶が空中に舞い上がり、ベニスでは運河が氷結するといった怪事件が続発する。そのため、日本にある国連宇宙科学センターにおいて緊急の国際会議が開催される。この会議において、遊星人ナタールが月世界に前進基地を設けて地球攻撃を意図していることが想定されたたため、調査隊16名を乗せた宇宙艇スピップ1号、および2号を月面探査に向かわせることになる。

 宇宙科学センターを飛び立ったスピップ1号と2号は、月への途中でナタールの攻撃を受けるが、この攻撃をかわし月着陸に成功する。そして月面探検車によりナタールの前進基地を攻撃してその機能を停止させるが、地球において、既にナタールのコントロール下に置かれてしまっていた隊員の1人によりスピッツ1号を失ってしまうのである。しかし調査隊は、なんとか無事に地球に戻ってくる。彼らの報告によりナタールの地球攻撃が明確になったため、全地球は一丸となって、ナタールとの戦いのため、来襲する円盤を大気圏外で要撃するための有人戦闘ロケットの量産と、地対空熱線砲の各地への設置が開始される。

 そして、ついにナタールの円盤群が地球を総攻撃してきたのである。次々に要撃に飛び立った戦闘ロケットは、ナタールの円盤と死闘を演じるのだが、警戒線を突破されてしまう。そして、ナタールの円盤群は、ニューヨークや東京など、各国の主要都市を攻撃してきたのである。はたして、このナタールの攻撃に対して、地球は守りきることができるのだろうか?・・・・

 以上が、『宇宙大戦争』の概要であるが、前作の『地球防衛軍』では富士の裾野が地球侵略を企む宇宙人との戦いの主戦場であったが、今回は月面であり、大気圏外であり、そして地球上であり、スケールアップされている。この映画の特撮も円谷英二特技監督である。今日のCGを用いた最新の撮影に比べれば、当然見劣りがするとはいえ、今見ても十分に楽しめるどころか、ハリウッド映画のように目まぐるしく画面が変化しないため、かえって地球の命運を賭けてナタールの円盤と戦う戦闘ロケットに感情移入がしやすくなり、心の中で応援している自分に気がつくのである。

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