監督
エリア・カザン
音楽
レナード・ローゼンマン
出演
ジェームス・ディーン
ジュリー・ハリス
レイモンド・マッセイ
ジョー・ヴァン・フリート
リチャード・タヴァロス |
この映画『エデンの東』は、24歳という若さで亡くなったジェームズ・ディーンを世に送り出したエリア・カザン監督の心に残る類まれな秀作である。たとえこの映画を見ていなくても、多くの方が、この映画の印象深い名曲は、どここかで聞いたことがあるであろう。
映画は、一人の青年が、道端に腰を下ろしており、そこを婦人が通りかかると、その青年が、その婦人をいわくありげに後をつけていくという印象深いシーンから始まる。この青年は、愛称キャル(ジェームス・ディーン)と呼ばれており、双子の兄弟であるアロン(リチャード・タヴァロス)と、農場を経営している父のアダム・トラスク(レイモンド・マッセイ)とカリフォルニア州の北部の小さな町サリナスに住んでいた。
キャルが後をつけようとした婦人は、実はキャル達が生まれたときに家を出て行ったが、父からは既に死んだと告げられていた母親のケイト(ジョー・ヴァン・フリー
ト)であり、キャルはそのことを確かめようとしていたのである。二人の兄弟のうち、アロンは真面目で、父アダムからも愛され、信頼されていたが、一方のキャルは幼いころからなにかとひねくれていて、素直と言い難いため、アダムはどうしてもキャルに愛情を注ぐことが出来ないのだった。そのためか、アロンには美しい恋人のアブラ(ジュリー・ハリス)がいるが、キャルには心を許せるような恋人もなく、陰では”ノラ猫”などとさえ呼ばれているのだった。
映画『エデンの東』は、このようなキャルの、孤独な、そして父の愛情を求めて彷徨する魂の物語である。映画の冒頭で、母親ケイトの後をつけた後にサリナスの家にキャルが帰るとき、貨物列車の上に飛び乗るのだが、このとき風を避けるためにセーターに腕を入れるのだが、こうしたシーンからもキャルの心の寂しさというものが、痛ましいほどに我々に伝わってくるのである。
こうした状況の中で、父アダムは、野菜を冷凍保存して東部ニューヨークへ送る計画を実行する。しかし不運にも、貨車がその途中に雪崩で立ち往生したため失敗し、財産の大半を失うという結果になってしまうのである。そしてキャルは、アメリカの参戦が避けられそうにない戦争(第一次世界大戦)によって豆が値上がりすることに目をつけ、父の損失をなんとか取り戻してやろうとして、ケイトからお金を借りて投資するのだった。
遂にアメリカが参戦し、豆が値上がりして、キャルは父の損失を補えるお金を手にするのである。そして父の誕生日に、父がきっと喜んでくれるものと思って、キャルは儲けたお金をそっくりプレゼントするのだが、父は喜ばないどころか、戦争で得たお金を受け取れぬと、キャルを罵るのであった。そればかりか「私を喜ばせたかった 善人として 一生を送れ」とまで言うのであった。
そしてアロンまでもがキャルを罵しるのと、絶望したキャルは、ついに何もしらないアロンに母が生きていることを話してしまい、アロンを酒場へつれて行き、母ケイトに会わせてしまうのである。母が既に死んでいると思っていたアロンは、思い描いていた理想の母と現実の母とのあまりの相違からか、大きすぎるほどのショックを受けてしまい、狂ったように自分を傷つけ、そのまま軍隊に入るため列車に乗り込んでしまったのである。
このアロンを止めるために、動き始めた列車に駆けつけたアダムは、変わり果てたアロンの姿を目にし、驚きのあまり、その場に倒れてしまうのである。アダムは、脳卒中を起こしてしまい全身不随の身となり、明日をも知れぬ様態に陥ってしまったのである。
アダムを診た医者は、キャルに旧約聖書のカインとアベルの物語を示して、残酷にも以下のように告げるのであった。
「”カインは立ってアベルを殺し カインは去って エデンの東 ノドの地に住めり” お前も去れ!」と。
この言葉によって、全ての希望を失ったキャルは父の下を離れて行こうとするのだが、アブラの説得によって、キャルは、かすかに唇を動かすことができる父と話をするのだった。そして、・・・・・
上記の最後のシーンでは、父アダムと子キャルとが、アブラの訴えによって初めて心を通わせあうことが出来る感動的なシーンである。この最後のシーンのみではなく、この映画全体の持っているテーマは、我が拙い言葉では表現できぬものであり、見てもらうほかはないであろう。いずれにしろ、この映画を見終わった後では、親と子、兄弟、善および善人であるとか、愛や、愛を求めたり、あるいは愛を与えることとかの様々なことについて、想いをめぐらさざるを得なくなるほどの、映画史上に残る必見の名作である。
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